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山梨さんはお品書きを見て、朔を相手にまた騒いでいる。
まったく落ち着かない私は店内を見るともなしに見ると、意外にもお客はふつうの人も混じっているようだ。
テーマパークのようなノリの人もいるし、そう思えば少しはこの場もましに思え……ないか。
その時、店の奥からTシャツ姿の男が出てくるのが見えた。
その人だけが忍者の恰好をしていないせいで、むしろ私の目を引き、なにげなく顔を見る。
顔を見た瞬間、大きく目が開いた。
それからばっと顔をそらし、心の中で舌打ちをする。
(な、なんでこんなところに……)
名前は忘れた。
でも数年前にキャバクラで知り合った客で、半年ほど付き合ったことのある男。
たしか当時は建設会社をしていると言っていたのに、どうしてこんなところに―――。
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