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けど絶対、朔はもう待ち合わせ場所にはおらず、帰っている。
そう思っていたのに、まだ大きなアニメの看板の下で朔がいて、心底驚いた。
「よっしゃじゃー行くか!
そうやなー、まずは人の多そうなところに入ってみるか!」
山梨さんはずんずん歩行者天国を歩いていく。
その後を少し遅れて続きながら、私は朔に小声で詰め寄った。
「……ちょっと、なんでこんなところに来たのよ。
来るなんて一言も言ってなかったじゃない」
「お前こそ、山梨とは神楽坂の店に行くんじゃなかった?
なんで秋葉原に……」
「それは……私だってまさかここに来るなんて―――」
その時、前を歩いていた山梨さんが振り返り、急に手を手刀の形にして、私と朔の間を断ち切った。
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