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「ちょっとそこー! 俺がおるのにいちゃつくのはなしー!
って、あそこ!なんかすごい人やな、見てみよーや!」
私を朔から引きはがし、引っ張っていった先は、大きなビルの下。
たしかにすごい人だけど、みんな秋葉原に馴染み過ぎている人ばかりで、正直近付きたくない。
私がそれとなく手を離すと、山梨さんは人をかき分けて最前列に向かっていく。
「おおおー!なんやあいつ!ゲームのキャラか?
見たことあるような……」
そんな声が聞こえたから、たぶんそういうことなんだろうけど、山梨さんは私たちなんていなくても、きっとひとりでもこの街で楽しくやれる。
朔と目を合わせると、なにも話さなくても、お互いの言いたいことは理解した。
……この隙に帰ろうか。
でもそう思ったのと、「朔ーっ、アヤちゃんー!」と声が聞こえたのは同時だった。
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