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これは本気の眼だ。
ここまで真摯に自分のことを想ってくれていたのに、逃げてしまったのが申し訳ない。だが泰志の気持ちにはどうやっても応えることができないのだ。
廉佳には勢いであんなことを言ってしまったが、心の底から彼を嫌いになったのではない。千世の恋心が踏みにじられてしまった気がしてショックだったのだ。
恋をするのは良いことばかりではない。今回のようにトラブルだってあるし、必ずしも想いが通じるものでもない。それでもまだ相手を好きになるのを止められないから、こんなにも困っている。
「ねえ――」
泰志の腕が背中に回ってきて抱擁される。胸がぴったりと合わさって、彼の力強くて早い鼓動が伝わってきた。そして、絞り出すような声で告げられる。
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