第一章

103/184

1412人が本棚に入れています
本棚に追加
/431ページ
「一週間あげる。俺は今日から一週間、いつも通り普通に千世にぃに接するから、その間に考えておいてよ。俺と恋人になれるかどうか」 「い、一週間?」 「うん。また同じこと聞くから、次はちゃんと答えてね」  幼い子供に話しかける時のような笑顔で言われ、既に泰志の『いつも通り』が始まっていることを知る。 「答えるって、何を……?」 「決まってるじゃん。俺と恋人になれるかどうか、だよ」 「――恋人……」  ストレートな言葉が、千世の退路を奪っていく。 彼は千世がはっきりと是か非か伝えない限り諦めない。それが泰志。弟だ。 (でも、僕には廉佳さんがいるから)
/431ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1412人が本棚に入れています
本棚に追加