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ある夢を見た。
夏空の下、子供が遠くで泣いている。あの声、あの姿。見覚えがある。
泰志だ。
近付いてみるが、幼い彼はこちらに気付くことなく泣き続けていた。
(泰志がこんなに大泣きしてるということは、きっとあの時の……)
両親が亡くなった九年前の夏、泰志はまだ八歳だった。だがこの時千世は十歳になったばかり。まだまだ子供だ。
それでも大泣きする弟を見て、自分がお兄ちゃんなんだからしっかりしないといけない、と幼いながらに責任感を抱いていた。
『父さん、母さん……何で、しんじゃったの?』
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