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「――うっ!」
「どうした宇藤? 飯が気管にでも入ったのか?」
「い、いや、そうじゃないよ。大丈夫」
その日の昼休み。千世は友人の高河と学食で談笑しながら昼食を取っていた。といっても、千世は周りと違って持参してきた弁当をつついている。元から食が細いのに最近は食欲が湧かないから小さめの弁当箱だ。
泰志とも廉佳とも関係のない友達と話している間は、しばし身内の問題を忘れられた。だが千世は廉佳に憧れて彼と同じ大学に入ったため、学内で出くわすこともしばしばある。入学当初はむしろそれを狙っていたのだが、何分今は都合が悪い。
偶然通りかかった廉佳と、これまた偶然眼が合ってしまい、千世は慌てて顔を伏せたという訳だ。
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