第一章

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 早くもダメ出しを食らった泰志は、今度は千世の後頭部に手を添えてそっとベッドに横たえた。その一瞬を逃すまいと、廉佳がスケッチブックにシャーペンを走らせる。  その後も服を脱がそうとする泰志の手を何度か止め、ようやく千世の上半身が裸にされた。 「ねぇ、脱がせたはいいけど、ここからどうすんの? 俺実践は初めてだからさ」 (泰志でもまだしたことないんだ……)  彼はまだ高校三年生だというのに、時に(あで)やかな雰囲気を醸し出すから学校では女の子達にモテるのだ。  そういえば泰志は何か変化があればどんな些細なことだろうと千世に報告してくる。言いにくいことだとは思うが、数年前精通の報告までされたことを考えると、無頓着な彼が何も言ってこなかったということは本当に実戦経験は無いのだろう。
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