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泰志がまだ千世より進んでいないことに密かに安堵していると、横から注文が飛んできた。
「本当に『初めて』なんだな、そういうの良いねー。次はおでこにキスしてくれる?」
「きききき、キス!?」
「おでこなら簡単じゃん。はい、千世にぃ」
笑みを湛えたままの唇が顔に近付いてくる。視界が暗くなり、吐息が千世の鼻先にかかった瞬間――。
「そこ! 動かないで、すごく良い感じ」
再び廉佳に待ったをかけられ、泰志の動きがぴたりと止まる。
(ち、近い! 唇くっつきそうだよ……)
まだ触れていないのに額がむずむずするし、何よりこんな至近距離に居られては千世の方が恥ずかしい。
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