第一章

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 一方の廉佳はページを変えて何枚もスケッチをしているし。どれだけ描けば気が済むのだろう。 「――はい、もう動いていいぞ」  許しが出ると同時に、額に柔らかいものが触れた。 「んっ……」  咄嗟に首を竦め、その感触をやり過ごす。 「やっぱ可愛いなぁ、千世にぃは」 「泰志……な、なにして……」 「俺悪いことした? 廉にぃからデコチューするように言われただけだけど」  そう出られると反論ができない。確かに泰志は指示されたことをしただけだ。
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