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「「ぼーいずらぶ?」」
宇藤千世と、弟の泰志は揃って素っ頓狂な声を上げた。二人の目の前に居る人物――福津廉佳に向かって。
「廉にぃ、どーゆーこと?」
弟がわざわざ手を挙げて尋ねる。千世もちょうど同じことを訊きたかったところだ。
「どーもこーもないさ。BL、つまりボーイズラブ。そのまんま男同士の恋愛ってこと」
「えっと……、僕たち『びーえる』のモデルになるためにここに呼ばれたんだよね……?」
ついさっき、廉佳から「二人でうちに来てくれないか?」と電話を受けたので飛んできたのだが、部屋に入った途端こんな会話が始まってしまって、脳での処理がまだ追いつかない。
「そ。やってくれないか?」
千世は頭を抱えた。比喩ではなく、本当に困り果てて、廉佳のベッドに座ったまま膝の上に肘をついて頭の重さを支える。
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