第一章

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「「ぼーいずらぶ?」」  宇藤(うどう)千世(ちせ)と、弟の泰志(たいし)は揃って素っ頓狂な声を上げた。二人の目の前に居る人物――福津(ふくつ)廉佳(れんか)に向かって。 「廉にぃ、どーゆーこと?」  弟がわざわざ手を挙げて尋ねる。千世もちょうど同じことを訊きたかったところだ。 「どーもこーもないさ。BL、つまりボーイズラブ。そのまんま男同士の恋愛ってこと」 「えっと……、僕たち『びーえる』のモデルになるためにここに呼ばれたんだよね……?」  ついさっき、廉佳から「二人でうちに来てくれないか?」と電話を受けたので飛んできたのだが、部屋に入った途端こんな会話が始まってしまって、脳での処理がまだ追いつかない。 「そ。やってくれないか?」  千世は頭を抱えた。比喩(ひゆ)ではなく、本当に困り果てて、廉佳のベッドに座ったまま膝の上に肘をついて頭の重さを支える。
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