第一章

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 千世の複雑な感情をスパスパと言い当てる廉佳に恐ろしさすら覚えた。『キャラのもっと感情を丁寧に描写した方が良い』という講評を貰ったとは思えない。  それだけ千世の気持ちを理解しているくせに漫画に活かせないのは何故だろう。多分、それが改善した時廉佳の漫画は更に面白くなるはずだ。 「千世にぃはいつも可愛いけど、そういう顔もすっごくイイね」 「お、男に可愛いとか……別に嬉しくないよ……」  いつも格好いいとちやほやされる泰志とは逆に、千世は大学生になった今でも周りから『子供っぽい』と言われてしまう。そのせいで小粋な弟や廉佳への憧れは増す一方だ。
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