第一章

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 年子の千世と泰志は、隣の家に住む廉佳と幼い頃から仲良くしていた。彼は今大学三年生で、千世より二つ年上だ。そんな、幼馴染みであり頼れるお兄さんといった存在の廉佳の口から『ボーイズラブ』なる単語が飛び出してくるとは夢にも思っていなかった。   まさか廉佳が――千世の初恋の相手が、そういうもの(・・・・・・)を描いているなんて。 「やっても良いけど、廉にぃが描いてる漫画見せてくんない?」  さっきからなぜか興味津々の泰志が身を乗り出す。  廉佳が昔からゲームや漫画、アニメといったコンテンツが好きなことや漫画を描いていることは知っていた。だが彼の描く漫画を見たい、と言っても「まだ下手だから」の一点張りでイラストすら見せてくれなかったのに、どういう風の吹き回しだろう。
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