第四章

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千世(ちせ)にぃ、俺緊張で心臓破れそう……」 「お、おおお落ち着いて泰志。きき、きっとダイジョウブだよ、今まで頑張ってきたんだから」 「――……自分より緊張してる人を見ると落ち着くのって本当なんだなぁ……」  泰志の部屋で翌日の準備をしていた二人は、大きな試練を抱えていた。いつもは飄々(ひょうひょう)としている泰志ですら冷や汗を流す有様だ。  正確には試練を抱えているのは泰志の方。千世は立会人でしかないのだが、彼の緊張が移ってきて喉がカラカラだ。  二人の神経がなぜこんなにも張り詰めているのかというと―― 「千世にぃは受験の時どうしてた?」 「えーっと……僕もすごく緊張したし、自分がやってきたことだけで足りるのか心配だったよ。でもいつまでもうじうじしてる訳にもいかないから、当たって砕けろ、みたいなところはあったかな」 「俺砕けたくないよ~」
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