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「泣かないで、千世にぃ」
「っ!」
泰志の顔が近付いてきた。
またキスをされる。そう思ってつい顔を逸らしてしまうが、そうではなかった。
柔らかな唇が宛てられたのは涙が溜まった眦で。自分の荒い息の合間に聞こえた、ちゅっという音を残して泰志の唇と涙は去っていく。
だが身体の熱はなかなか落ち着かず、まだ奥の方で昂ぶっている。
(今日の僕、なんかヘンだ……)
穴があったら入りたい、というより自ら穴を掘って埋まりたい気分だ。いつまでこんな姿を晒せばいいのだろう。
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