第一章

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(もしかしてこれ、ヤキモチ?)  今もやもやしたり焦燥感に駆られたりしているのは、好きな人が目の前で別の相手の影をちらつかせるからだ。こんな気持ちになったのは初めてだから推測でしかないが、これは嫉妬。だと、思う。 (そういえば廉佳さんの相手って女の人? 男の人?)  BLが好きなのとゲイであることはイコールではない。もし廉佳が普通に女性のことを好きならば、千世に勝ち目はないということだ。 「――冷た! な、なに!?」  千世が考え事に耽っていると急に下腹部に冷やっとしたものが垂らされて、そちらに無理やり意識を向けさせられる。 「ごめんごめん、これ手であっためて使うんだっけ?」  ローションのボトルを手にした泰志が謝ってくる。なんの前触れもなかったので必要以上に驚いてしまったが、内腿を伝ってくるそれはさほど冷たくもなかった。
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