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「僕も、廉佳さんの漫画上手いと思うよ」
廉佳のことを子供の時のまま「廉にぃ」と呼ぶ泰志とは違い、千世は中学に上がったあたりからは気恥ずかしくて「廉佳さん」と呼んでいた。その頃には既に彼をただの幼馴染みとして見られなくなっていたせいもあるが。
「うーん、実はその漫画、あるレーベルの新人賞に応募したら最終選考で落ちちゃってさ」
「え、そうなの?」
千世が二十年かかっても描けなさそうなものが、最後の最後で落選してしまうなんて。
「講評貰ったんだけど、『画力はあるが設定にオリジナリティーが足りない。キャラの心情をもっと丁寧に描写した方が良い』だってさ」
「へぇ……」
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