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頬が熱い。いや、熱いのは顔全体だ。
目を閉じているのに眩しくて、血の色が透けて見える。うっすらと紅い世界で、深い眠りに就いていた。
身体が――特に下半身が悲鳴を上げる中、千世は泰志の声に呼ばれて重い瞼を開けた。
「あ、千世にぃ起きた」
「泰志……ここは…僕の部屋……?」
「そだよ。昨日千世にぃが寝ちゃったからここまで運んできたんだ」
千世の顔を覗き込んでくる泰志の距離がやけに近いと思ったら、人のベッドに勝手に入り込んで添い寝しているではないか。それ自体は珍しいことではない。が、彼の顔を見た一瞬で昨日のことを思い出してすぐに布団を頭からすっぽりと被った。
(どどどどど、どうしよう! どんな顔して話せばいいんだろう……)
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