第一章

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 泰志は驚くほど自然に振る舞ってくるが、まだ千世の気持ちは整理ができていない。泰志と同じように『普通に』していれば全てが有耶無耶になって、もしかすると昨日の事はなかったことにできるかもしれない。それなのに、もはや今までどうやって泰志と接していたのか忘れてしまった。 「そうだ、ちーちゃん。もう大丈夫ならお醤油買ってきてくれない? お昼に使いたかったのだけど、切れちゃったのよ」 「あ、うん。分かった」  泰志と居間にいるよりは何倍もマシだ。千世は手早く支度を済ませて家を出た。
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