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そうは言うものの、彼の手は止まらない。気が付けばスケッチブックを持っていた左手も千世の胸を弄り出していた。
「BLにおいては乳首責めも重要なポイントなんだ。だから、もうちょっとだけ付き合って?」
「えぇ~……あ、ちょっ――」
(もしかして『話』って、このこと?)
とんだ罠に引っかかってしまったものだ。彼はこんな性格だっただろうか、と首を傾げる。
せめて廉佳の気を別のところに向けようと、昨日から気になっていたことを訊くことにした。
「あ、あの! 廉佳さんは、なんでBLが好きになったの……?」
「それ聞くか? 長くなるぞ」
「その方が嬉し――じゃなかった、大丈夫! 僕、廉佳さんが好きなものについてもっと知りたいんだ」
努めて明るく振る舞うと、廉佳は一度千世の身体から離れてベッドの奥を覗き込んでまた何かを漁り始めた。
これで身体への悪戯から解放される。千世の思惑通り――の、はずだった。
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