第一章

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 急に饒舌になった廉佳に戸惑いを隠せない千世だったが、本人はすっかり自分の世界に入っているようでこちらには全く気付いていない。 (これは……廉佳さんの変なスイッチ押しちゃったかもしれない) 「男がいて女がいる。二人が出逢って恋をする。それは片想いかもしれない。喧嘩もするけど、仲直りして更に互いの距離が近付く。そんで最後は恋人になるなり結婚するなりでハッピーエンドだろ? 男同士だとそう簡単にはいかないんだよ。そこがまた良いんだよな。セックスだって、友情と愛情を分けるコミュニケーション方法の一つなんだ」  一度ストッパーが外れてしまった廉佳は餌を求める雛鳥のように喋り続ける。ここまで熱く語る彼を見るのは初めてだ。きっと、千世が止めに入るまで鳴き止むことはない。
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