第一章

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(ぁあ……イっちゃった)  荒い呼吸の中、ぼんやりとする頭ではろくに考え事もできない。ただ、出所(でどころ)不明の空虚感が千世を包み込んでいた。 (僕、何してるんだろ)  何も言わず身なりを整えてくれている廉佳に対して湧き上がってくる気持ちは羞恥や失望、ましてや怒りでもない。言うなれば、疑念。  どうして自分は流されてしまったのだろう。どうして廉佳はここまで千世にBLのモデルをやらせることに固執するのだろう。  どうして、嫌だと言っても止めてくれなかったのだろう。  (もう、どうしたらいいの?)
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