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最悪なタイミングで出くわしてしまったものだ。よりによって廉佳と諍いをした直後に、これまた気まずくなっていた泰志と鉢合わせるなんて。
「ど、どこにも行ってない。ちょっと外に出てただけっ」
「それ日本語になってないけど」
「あ、あれ? とにかく、何でもないから!」
泰志の横を通って階段を上ろうとすると、目の前を、風を切る音がするくらいの勢いで彼の腕が横切った。バンッ、と壁に打ちつけられた手から湯気が立っているのではないかと思うくらい重い一撃が行く手を阻む。
「千世にぃってさ、隠し事するの苦手でしょ。俺弟だよ? すぐ分かるって」
「……」
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