離婚届と結婚指輪

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離婚届と結婚指輪

 私は、誰を信じればいいの?  自分の前からドンドン離れて行く  私の好きなもの  信じてみようと一回踏み止まると  必ず、私を裏切る  私は、一体誰を信じればいいの?  誰か教えて  ☆ ☆ ☆ 「ごめんなさい。前見てなくて」  会社を飛び出して外に出た瞬間誰かにぶつかってしまった。 「…僕なら平気だよ?」 「…渚君」  ぶつかった自分を優しく受け止めたくれた渚に、美緒の心は揺らぐ。  このまま、彼に抱きしめて欲しい。  このまま、私をどこかに連れ去って。 「美緒さん? 大丈夫? あぁ! もしかしてどこか痛い?」  自分に抱きついたまま、離れようとしない美緒。  渚は、もしかして怪我をしてるのではないかと、強引に美緒を引き離し、彼女の顔を真正面から見ようと自分の顔を近づけようとした瞬間…  逆に、腕を取られ、すぐ後ろにあったコンクリートの壁に押しつけられた。 「みみみみみみみ美緒さん!?」  壁に押しつけられ、身動きが取れなくなってしまった渚は、どうする事もできずに、美緒に助けを求める。  そんな、助けを求めてくる渚に、美緒は…そっと近づき、彼の唇に、自分の唇を重なる。 「…美緒さん」  渚は、一瞬だけ驚いた表情を見せたが、それもほんの一瞬ですぐに、彼女の背中に自分の手を回しそっと体を支えた。 「…渚君。このまま、私を誘拐して」 「…いいよ。でも、その前に…」  美緒の腕を取り、形勢逆転と言わんばかりに、今度は、美緒を壁の方に押しつけ、彼女に覆いかぶさるように唇を奪う。 「…美緒さん。僕と結婚してください」 「…はい。私を貴方の奥さんにしてください」  渚と美緒は、同じタイミングで瞳を閉じて、同じタイミングで唇を重ねあった。  好きだよ。僕だけの最愛の人。  ☆ ☆ ☆  さよなら、岡宮美緒。  さよなら、岡宮永輝。  さよなら、私の最悪だった6年間。  さよなら、永輝さん。         
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