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拝啓 岡宮永輝様
秋も深まり、肌寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
若草樹里様との結婚式のご準備は、進んでおりますか?
結婚式は、花嫁にとって最高のイベントです。
その最高のイベントを最高に導くためにも、体調管理を徹底し最高の結婚式を迎えられることをお祈りしております。
さて、ここまではわたしくからの言葉とさせていただき、ここからは、ある人物からの伝言とさせて頂きます。
泉石 渚
拝啓 岡宮永輝様
今日まで、こんな私を愛して頂き、本当にありがとうございました。
そんな貴方に、こんなお願いするのはとっても辛く、決断するのに3日もかかりました。
永輝さん。私は、もう貴方と夫婦でいることはできません。
永輝さん。私と離婚して頂けませんか?
永輝さん。わたしはいまでも貴方の事が好きです。
できれば、あなたとこれからも一緒に暮らしていきたい
だけど、いまの貴方は、私にプロポーズをしてくれた永輝さんから、まるで別人。
それでも、私は永輝さん、あなたを信じたかった。
けど、3日前……貴方と重ねあったあのキスで、私の想いと心が全て壊れました。
もう、永輝さんの心は私にはない。
そう思ったら、貴方の事が信用できなくなった。
なので、離婚としてください。
古閑 美緒
☆ ☆ ☆
「……」
3日前、急に上司に呼ばれたと、いつもより早く仕事に向かったまま帰ってこなかった美緒。
仕事が忙しくなると、彼女は、1週間ぐらい仕事場に泊まり込む事がある。
なので、今回は、自分に連絡ができないほど大変な依頼なのだと思い、彼女に自分の方から連絡を入れてみようと思っていた矢先にあの男、泉石渚から手紙が送れてきた
けれど、今回は美緒からの手紙も一緒に同封されていた。
そして、封筒の中から手紙と一緒に白いユリの花びらが結び付けられた婚約指輪が光り輝いていた。
「……」
今更気づいた、自分の過ち、そして、彼女の大切さ。
俺は、自分のたった一度の過ちで、大切な人を裏切った。
そして、大切な人は俺の前から居なくなった。
☆ ☆ ☆
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