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「理由など無い」
阿梵詭は言った。その目は内にのみ向かい、他には何も映そうとはしていなかった。
「……そう」
一つの制御が破壊された。己の怒りに呑み込まれた闇が巨大に躰を膨らませ、宙を駆け抜けた。それを倒すべく、光が一斉に僕の背後から飛び出した。
「でも、あるとすればそれは…」
光と闇は、もう止めることが出来なかった。僕はその場を動かなかった。阿梵詭もまたそうだった。
「ずっと昔から抱いていた僕達の想いだ」
戯言のように零れた言葉一つ、何処にも届くことなく溶けていった。
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