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信司と身体の関係が出来てから、思った。
結局、麻紀の夫婦はお互いに不倫している。信司夫妻も多分同じだろう。
なのに、両方の家庭とも、何事も無かったかのように、日々が過ぎて行っている。
信司には夫とは違う姿を見せている。信司の奥さんも付き合っている彼には、信司とは違う姿を見せているのだろうか。
家庭って、何なんだろう。人を好きになるって、どういう精神状態になる事なんだろう。麻紀は信司のことが好きなのだと思う。
もし、信司が奥さんを抱いたと想像すると、胸が締め付けられる。信司は「そんな関係はここ数年無い」とは言っているが、夫婦なのだから有り得ない事では無い。
麻紀も、一度、夫に求められ、理由が無くて拒みきれず信司に会う前日に抱かれた事がある。夫は毎週、月曜日と、木曜日か金曜日のどちらかの2回会っている様子だったのだが、その週は会えなかったのだろう。
その事を知った信司に、麻紀はとても激しく抱かれ、本当に気を失いかけた事がある。冷静な信司は、当然、何も責めない。ただ、頭で仕方が無い事と理解していても、おそらく感情的には嫉妬したのだと思う。
家庭は社会を構成するコミュニティ。これを乱すのは止めよう。そう思う。
でも、気持ちと身体は?
夫の相手は、夫の好みを考えると20歳代前半の独身の胸の大きな女性だろう。髪の長さはセミロングに違いない。独身の彼女は、恋愛と社会を整然と構成するコミュニティの違いを理解できるだろうか。
彼女の気持ちが暴走してこの調和を壊さなければ良いのだけれど・・・。麻紀は本当にそう思った。
「さてさて、夫はどこまで彼女をコントロールできるかな」と少し面白い見物だとも思った。
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