恋愛と夫婦

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それを気付かせてくれたのが信司だった。彼は何も麻紀を解放しようとした訳ではなく、彼なりのセンスで麻紀に接しただけだったが、おそらくそれが自然体の麻紀に、ピタリと当てはまっていた。 信司のことを愛していたし、信司も愛していると言ってくれているが、信司と一緒になることを望んでいる訳では無かった。おそらく、W不倫のこの関係がいつまでも続くわけはなく、信司とも別れるときが来るだろう。 でも、今は会えば楽しいし、会えないときは会いたいと思ってしまう。抱かれたときを想像して、昼間から自慰に耽る時もある。 信司はこれから先のことを、どう思っているのだろう。聞いてみたい気がしたが、絶対に聞かない方が良いと思い直した。 日曜日の夜は、家族揃って食事を取ることが多い。夫と子供とたわいも無い事を話ながら、食事をする。食後、夫は彼の恋人から連絡が来るのか、スマホをずっといじりながら子供とテレビを見ている。彼女も日曜日の夜は夫が家族と過ごすのを知っているだろうから、きっと、嫉妬でスネたラインでも届いているのだろう。 そして、嫉妬で、きっと明日は、夫に甘え、激しく夫を求めるのだろうな、と想像する。
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