ー Red Notice ー

43/70

504人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
 歯が浮くような台詞を紡いでいたレンの唇が、そった口元に落ちてくる。あまりに動きが自然で、奏真は抵抗するのを忘れてしまった。視線の先では変わらず、レンが柔らかい微笑みを浮かべている。 「今度はソウの部屋でおうちデートね。君に観せたいオススメの映画があるんだ。『明日、約束の場所で君を待つ』っていう僕が一番好きなフランス映画。海に面した崖の上にある教会を舞台にした、ステキな映画なんだよ」 「恋愛ものか…俺、そのジャンルは得意じゃないな」  それまで無邪気に話していたレンが、突然溜め息をついた。わかってないと言いたげな目で見返し、悟すように言う。 「恋愛じゃなくて、純愛。真実の愛さ。切ないけど、最高のハッピーエンドを迎える究極のラブストーリーだよ。さっき見たブライダル雑誌に、ロケ地によく似た教会があったんだ。次に会う時はそこに行こう。ね? 約束だ」 「男2人で教会に行くのか?」 「そうさ。だって教会は、愛を誓う場所だろ?」
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

504人が本棚に入れています
本棚に追加