その9

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 けれども軌道船を見上げるゆるシアの笑顔から、なぜだか急に涙がこぼれ落ちた。そして、顔がしわくちゃになっていく。 「どんなに短い時間でも、ヒトとして誰かと好き合うということが、相手のすべてを独占してしまうことだなんて、わたしは想像もしていなかったんです。わたしはただ愛されたかっただけなのに、わたしのせいでヤワラカとミルちゃんの縁を遠ざけてしまいました。こんなことならずっと物にでも宿っておけばよかったんです……」
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