その4

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 学諭のぽかんと開いた口の中へ、ゆるシアが指でつまんだ蒲焼きを詰め込んできた。  口に入れた瞬間は、あっさりとした薄味を学諭に覚えさせたが、甘辛なタレとピリリとした山椒が絡み合って、噛めば噛むほど濃厚な蒲焼きの風味が広がってくる。噛み応えのある肉厚な身は、小骨や皮の不快感がまるでなく、舌ですりつぶせてしまえるほどにふんわりとして柔らかい。これはご飯をかき込みたくなる蒲焼きだ。
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