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ドレル13世は、畏まっているアシャに言った。
「娘……アリーの婚礼が終れば……一先ずこの地域も落ち着くだろう……」
「はっ!……クリスタルシティーの由緒正しきガレス族の三男様が、婿養子に来ていただく事により……クリスタルシティーとの結束も強くなりましょう」
ドレル13世は頷いた。
「うむ……それもそうだが……。相思相愛で二人が結ばれるのが、何よりも喜ばしい……」
「はっ!……恐れながら、私も同じ想いでございます……」
ドレル13世はアシャを見据えた。
「アシャよ……ワシはお前を、統一戦争に出してやれなかった事を……すまないと思っておる」
アシャは思わず目を丸くした。
「殿っ!何を仰いますかっ!……あの時私を止めて下されなければ……。今の私は存在しませんっ!」
ドレル13世は続けた。
「ワシはお前の武士道を曲げさせた……。許せ……」
アシャは泣きそうな表情をした。
「殿……」
「本来お前は……このような小さき処に止まる男ではない……。お前の剣技と、志し……ワシはそれを発揮する場を奪ったのだ」
ドレル13世は再び窓から、外へ視線を移した。
「今のドレルがあるのは……お前のお掛けじゃ……」
アシャは複雑な表情をした。
「殿……」
「お前の指導もあり……息子も娘も立派になり……それを護衛する者達も、もはや一人前じゃ……」
ドレル13世はアシャを再び見据えた。
「アシャよ……この祭典が無事終えたら……。夢のために自由に生きよ……」
アシャはまたもや泣きそうな表情をした。
「殿……」
「今まで縛り付けて……すまなかったな……」
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