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……飛空挺ウィング……
飛空挺ウィングでは、ロックとエリスが前夜祭出席の準備をしていた。
ドレルで購入した朱色のドレスを身に纏ったエリスは、フリースペースある姿鏡を満足げに見ていた。
エリスの姿はそれは見事なものであり、派手すぎないドレスと、首に掛ける真っ白なファー、エリスの綺麗な金色の髪が見事にマッチし、それは美しいものであった。
「パーティーに行くならこれ位の格好をしなきゃね……」
エリスの姿に、バルバル夫婦のカレンは、感心そうに言った。
「似合ってるじゃないかい……」
「へへ……ありがとう……」
カレンにそう言われて嬉しかったのか、エリスの表情は照れた感じだ。
「ふむ……いつもと違い落ち着いた感じだな……」
ジンも感心そうに眺めていると、フリースペースにロックがやって来た。
やって来たロックの姿に、エリスは驚いた表情をした。
「やだ……ロック……似合ってる……」
エリスの瞳に写るのは、いつものチャラけたロックではなく、黒いスーツに中は臼青いシャツ……赤いネクタイをキチッと絞めたロックが、右手に刀を持ってそこに立っていた。
「何年ぶりだ?スーツ着んのは……」
ロックは少し感慨深い表情をしている。
「こうしてると、いつものいい加減さがないね……」
エリスの言葉にロックは口を尖らせた。
「テメェ……俺の事を何だと思ってんだ?」
ジンがロックに言った。
「どうだ?その姿は?」
ロックは吐き捨てた。
「けっ……今日だけだぜ……こんな格好はよぉ……」
するとリキが、ロックの刀を指差して言った。
「刀はダメだぜ……」
「そうだったな……ジン、預かっといてくれ」
ロックはそう言うと、刀をジンに放り投げ、ジンはそれを上手くキャッチした。
エリスは不安な面持ちでロックに言った。
「大丈夫なの?刀なくて……」
「捕まえるだけだろ?どうにでもなるよ」
ロックにさほど気にした様子はない。
そんなロックにリキは言った。
「しかし、簡単にいく相手でもねぇぜ」
ロックはリキの心配を鼻で笑った。
「へっ……だから面白れぇんだろ?」
ジンは諦め顔でリキに言った。
「言っても無駄だ……」
リキは呆れた様子で言った。
「みてぇだな……」
ロックはエリスに言った。
「んじゃ、そろそろ行きますか……」
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