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「自由を奪われて生きてきたから、自由の意味がわからない。私がいっさいSEXという礼を受け取らないと理解したあとは混乱です。何かを望んでも礼を突き返されると思えば口にできない。 役に立たないということは、またどこかにやられるのかと泣き出す。 頭の悪い子ではないが情緒面に問題があります。毎日が忍耐ですよ。間違っていることを間違いだと理解させることが。 ネットが救いになりました。知らない誰かとは話ができるし、代価が発生しない。 そのうちに自由に徘徊し覗きを覚え、あちこちの裏口をノックしだしました。 今は結構な腕前のようです。美薗の言う言葉や単語の1%ぐらいしか私は理解できませんから、どの程度かわからない。彼が言うには「わかりやすい」世界らしいですが。 今回トシを探したのは美薗です」  斉宮にとってのネオ。 「この店の従業員として彼をおいてやってくれませんか?人件費は私が支払ます。仕事を教える手間賃をプラスしましょう。 この世の中の代価は「金」であることや、生身の人間と会話すること、私以外にも代償なしに親切にしてくれる人間がいるということ、それを知ってもらいたい。 情報を探る事、それが私の役に立ち美薗とってはSEXではない代価になった。 自分が誰かの為になり、役に立つ。随分と表情が変わりましたよ。 だからここで働いて、労働の代価としての賃金を得て、人の愚痴を聞いて慰め笑ってあげる。 そんな毎日を積み重ねれば、私に「それは違う」と口酸っぱく言われるよりもずっと彼の為になる。そう思った次第です。 ふう……長く話すって疲れますね」  そう言ってほほ笑んだ斉宮は何だか可愛い男に見えた。
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