205人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、もっとわかりやすく言います。あなたに何か起こり俺が交換条件、それで碧さんが助かるとします。そして俺はいなくなる。あなたはまた一人ぼっちになる。
俺はそんなこと絶対できない、あなたの傍にいるって決めたから。
桜沢さんでも、一生足かせに縛られる生活になってもいい、どんな手を使っても、あなたを救い出します。ただし、自分を犠牲にする方法だけは選択しない。
足をもがれようが、腕がなくなろうが、碧さんが生きてさえいてくれればいい。俺の言っている意味わかりますか?
約束です!自分を犠牲にする方法だけは絶対ナシです!」
優しくて強い……わたしの男。
「桜沢さんは、俺が碧さんの手を離したら、あなたが壊れると言いました。俺も同じです。あなたを失ってしまったら……俺は壊れます」
「宏之……ごめん」
「うう……くっ、うう」
「あああ、ごめんね。また君を泣かせてしまった」
「あなたを失ったらって想像しただけで、こんなに悲しいのに!
それなのに!
約束できない!って!ひどいよ……ひどいよぉぉ!!」
「ごめんね。ああ、泣かないで」
首にかじりつくように抱きつく。君を怒らせた……そして傷つけてしまった。
「約束してください。出来ないなら……ここで俺を捨ててください」
重なっていた二人の胸が離れる。宏之がわたしを引きはがしたから。涙でぬれた頬を震わせ、冷たい瞳がわたしを睨みつける。
「今なんと?」
「約束できないなら、俺を捨ててください!」
噴きあがる怒り、渦巻く絶望。なにを言いだす?
「傍にいると言ったのは宏之だ!」
「約束できないってことは、俺がいなくなっても碧さんは耐えられるってことです。それは俺の気持ちと一緒じゃない。一緒じゃないなら意味はない。そう思いませんか。
俺がいらないなら、俺がいなくても平気な程度なら、今ここで捨ててください!」
「わたしのものだ!誰にもやらない!」
無理やり口を塞ぎ、下唇に歯をたてる。捨てろだと?今更だ、何を言いだす!
最初のコメントを投稿しよう!