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「出版社が持っている先生の資料関係を再度洗いなおします。画像や先生の出生をはじめプライベートにかかわる情報があれば全部まとめます。データはこちらに持ってきますので、ここで保管をしてください。我々が必要としているのは先生の「原稿」です。それ以外無くたって何の問題もありませんから」 「秋元さん……ありがとうございます」 「でも、ここに住んでいる事をどうやって調べたのでしょうか。うちから先生に出している郵便物や荷物はすべて木崎さん宛てになっていますから、社内から漏れたとは考えにくいですよ」 「それは俺も考えました。それで……この家に出入りしている人は、秋元さんしかいいないのです」 「え……」 「シュンの本をだしている出版社は秋元さんのところだけです。その編集者が秋元さんだということは誰にでも調べられる。あくまでも可能性として聞いてください。 ここに来る秋元さんを尾行すれば、シュンの住まいだと当たりはつけられる」 「まさか」 「あとはゴミを漁れば名前に行き付く。請求書やDMには俺宛てのものもシュン宛のものもありますからね。ビリビリに破いたとしても探るのは簡単でしょう。 そう考えると、自分の甘さにガッカリしちゃって、すぐシュレッターを買いました」 「もしそうだとしたら……俺のせいです」 「秋元さん、それは違います。この世の中に生きていて、完全に隠れて暮らすことなんかできません。今回のことが片付いたとしても、また次に何か起こるかもしれない。 一度きちんと話し合うべきなのでしょう。「征寛 俊」のあり方を」 「そうですね。先生の露出の仕方、取材を受ける方向性を少し松木と話合ってみます。 一人でヤクザに立ち向かった?それは向こう見ずです。今回はやめてくださいね」 「そうですよね。相手は3人いましたから」  秋元さんの唖然とした顔が可笑しくて、ようやく気持ちが凪いだ。
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