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「まあ、そう絶望しないでください。ついでに言っておきます、私の血、半分ヤクザだと言ったの覚えていますか?」 「ええ、初めて逢ったあのホテルで。確かにそう言いました」 「半分、それは権田です」 「なんだって?」 「ボンクラ半人前と異母兄弟ってことですよ」  全部自分の手のひらの上で転がしているとでも言いたいのか?  斉宮の持つチェス盤は広大な面積をもっている。その上にのる駒はいったいどれだけの数だ?その中の、わたしと裕。 「次は芳樹である必要はないと私は考えています。もちろん組長もね。現にお飾りみたいな若頭に代わって、組を動かしているのは桜沢ですよ。この先どうなるかはまだ見えていませんが」 「あなたという人は……」 「さっきの話しに戻ります。助けを求める場をあなたが切るとは思えません。今まで以上に私とともに歩くことになる。 そして、あなたが関わったカードの数々。それを切る時、あなたが『普通』でいるほうが効力は増す、格段に」 「あああ……そんな」 「おわかりになったようですね。「男娼」相手に悪いことをしても人はそう怒らないわけですよ。 男が風俗にいって女を買った。同じ部署の女子社員と不倫した。 どっちの写真が人を怒らせるかわかりますよね?もちろん後者です。だからあなたは『普通』でいなければならない。蒼ではない普通の男であることが重要なのです」  笑うしかない。今日ここに来なければよかった。
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