木漏れ日よりも暖かく

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「きぃ~みぃ~がぁ、いた~……」 現在、午前六時五十分過ぎ。 こんな朝早くから結構ご近所迷惑になりそうなでかい声で乱暴に歌っている誰か。 すでに起きていて本を読んでいた宗太は、その声のする方をチラリと見て、着替えを始める。 黒いジーパンにグレーのトレーナー。 寝間着代わりのジャージを素早く脱いで着替えを完了させて、すぐに部屋を出た。 階段を騒がしく駆け降り、リビングを通ってから冷蔵庫へ直行する。 中から取り出した牛乳をパックごと傾けてイッキ飲みした。 大きな溜め息を一つ残して再びリビングを通ってから玄関に向かった。 「宗ー?」 リビングの方から声が聞こえる。 誰もいないと思っていたが、どうやら声からして姉の由季がいたようだ。 「ちょっと、外出てくるわ。」 玄関で靴を履きながら顔も向けずに大きな声を出す。 「りょーかーい。」 由季の間延びした返事に、今日は彼氏からまだ連絡が来ていないのだとわかった。 彼氏からの連絡が入ってようやく朝の目覚めの時間を迎えたような様子になる由季は、現在完全に彼氏に見せられないくらいだらっとした様子のはずだ。 「今日、休みだし、そろそろ、卓さんからデートのお誘いメールが来るんじゃないか?」 宗太は、返事を聞かずにそれだけ言い残して家を出た。 外へ出ると、相変わらずの歌声と共にザッザッと何かが擦れる音も聞こえてきている。
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