星になった君

3/3
前へ
/3ページ
次へ
俺は好きだったんだ。君のことが。 君の死を受け入れたくない程に。 嗚咽が漏れる。みっともない、こんな年になって泣くなんて。 そう自分に言い聞かせる。 だけど止まらない、止まってくれなかった。 「お母さんがね、死んじゃった人はお星様になるって言ってたよ」 はっと目を見開いた。 呆然とその場に立ち尽くした。 あの言葉が、聞こえた。 単に思い出したのではなかった。 肉声として聞こえたのだ。 しかも、間違いない、間違えるわけが無い、君の声だ。 夜空を見上げると満天の星空だった。 もう雨は降っていない。 俺は涙を拭った。 そうか、そうだよな……君は星になったんだよな。 星になって俺を見守る存在になったんだよな。 こんな泣いてる姿見せられねぇよな…… 君はもう、この世にはいない。 だけど、星になって輝き続けるんだ。ずっと。 傘を畳んだ。夜道を再び歩き出す。 明日に向かって。 その時、彼の頭上で一つの星が煌々と輝き始めた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加