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俺は好きだったんだ。君のことが。
君の死を受け入れたくない程に。
嗚咽が漏れる。みっともない、こんな年になって泣くなんて。
そう自分に言い聞かせる。
だけど止まらない、止まってくれなかった。
「お母さんがね、死んじゃった人はお星様になるって言ってたよ」
はっと目を見開いた。
呆然とその場に立ち尽くした。
あの言葉が、聞こえた。
単に思い出したのではなかった。
肉声として聞こえたのだ。
しかも、間違いない、間違えるわけが無い、君の声だ。
夜空を見上げると満天の星空だった。
もう雨は降っていない。
俺は涙を拭った。
そうか、そうだよな……君は星になったんだよな。
星になって俺を見守る存在になったんだよな。
こんな泣いてる姿見せられねぇよな……
君はもう、この世にはいない。
だけど、星になって輝き続けるんだ。ずっと。
傘を畳んだ。夜道を再び歩き出す。
明日に向かって。
その時、彼の頭上で一つの星が煌々と輝き始めた。
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