離したくない

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「もしかしてこれで午前中ずっと悶々としてたの?」 「うん。別れを告げられるのかと……」 「なにそれ、かわいい!」 ぷっと吹き出して笑い出す。 「笑うなよ」 ぐいっと茜を引っ張って俺の腕の中にいれる。 「竜くん……流山さんは?」 「さっきの見たら分かるだろ。塚田のことが好きなんだよ」 「そうなのか……」 俺の背中に手を回してギュっと抱きついてくる。 「あ、茜。これ」 ポケットからさっき机から出した包み紙をだす。 「なに?」 「今日、メンズバレンタインデーでもあるんだ」 「へー。あ、これこの前もらったネックレスの!」 包み紙を開いてぱぁっと顔を輝かせる。 「うん。ブレスレット」 「嬉しい!ごめんね、さっき流山さんとお似合いなんて言っちゃって……本気じゃないよ」 茜がもう一度俺に抱きついてくる。 「わかってる。俺が好きなのはたった1人。茜だけだから覚えておいて」 「うん。あたしもだろ。竜くん」 勘違いでよかったとつくづく思う。 こうして勘違いすることもまたあるかもしれない。 でも、その度にオレら2人で解決していきたい。 俺らならできる。 -FIN-
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