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「須坂さん、これチェックお願いします」
茜が俺の席まで書類の束を持ってくる。
「あぁ、置いといて」
パソコンで処理中だった俺は茜を見ずに、答える。
見れるわけなんてなかった。
今日、別れを告げられるんじゃないかって不安で仕方がない自分の顔なんて見せられるわけなんてなかった。
元々、茜は俺なんて眼中になかった。
それを〝キスの日〟にかこつけてキスをして無理やりアイツの中に俺を刻み込んだんだ。
だから例えばアイツのことをずっと好きでいる塚田とかが本気の告白をして、アイツの頭が塚田でいっぱいになって、俺のことなんて眼中になくなるのなんて簡単なことなのかもしれない。
茜のことになるとたった一つのことで不安でたくさんになるんだ。
「これ、渡せるのかな」
机の引き出しを開くと見えてきた一つの包み紙。
今日、9/14はメンズバレンタインデーでもある。
本来なら男から下着をプレゼントする日なんだけど、さすがに俺は下着を買いに行く勇気はないから。
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