離したくない

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「あっれー、竜!」 昼休み、茜に断った手前社内にはいれなくて外に出る。 「希映」 声をかけてきたのは同期の流山希映。 2ヶ月前にこいつとの関係を茜に疑われたっけ。 「お昼?」 「あぁ」 「じゃあ一緒に食べよ」 希映は強引に俺の腕を掴む。 「まだ俺いいともダメとも言ってない」 「どうせ一人でしょ?いいじゃん」 俺の言葉なんかお構い無しにズンズンと歩いて、会社近くの定食屋に入る。 「んーと、竜はどうせしょうが焼きでしょ?」 「うん」 「じゃあ、しょうが焼き定食と……」 希映がメニューを吟味する。 「お前はどれだけ吟味してもどうせ唐揚げ定食だろ」 「あはは。そうだね。てことで唐揚げ定食!」 「はーい!毎度ありー!」 女将さんが伝票にかいて、厨房に戻る。 「毎回結局同じものだよね」 「ん。だから、おまえもメニューなんか見なくていんだよ」 「だって他の食べたくなるかもしれないでしょ」 ぷうっと頬を膨らませる。
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