パンダ

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寒いから抱きしめてくれるんじゃない 手を繋ぎたいから繋ぐんじゃない 抱きしめてくれる理由も、手を繋ぐ理由も一つじゃないと、彼は教えてくれる。 私はわかったふりをして頷いて見せるけど、 「わからなくてもいいよ」 彼は、優しく触れてくれる。 いつまでも灰色になれない私に 「そのままでいいよ」 彼は、笑ってくれる。 私は灰色になりたい。 白でも黒でもない言葉を彼に言えたら、とても嬉しいから。 相も変わらずパンダな私が彼に言える言葉は、とても少ない。 ただ、繋いでくれた手をぎゅっと握るだけ。 離れないで 一緒にいて いつか、優しい灰色で、それが伝えられたら。 私は とても嬉しいから。
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