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「これで全力かしら――」
一言終える前に背中からもう一度大爆発が起こった。
起動は二度だ、指を鳴らしての魔法なんて洒落てるだろ。
まさか後ろからの二撃目が同時に用意されていたまでは考えていなかったようで一瞬注意が逸れる。そこへ両手を開いて体当たりした。
二人でもつれて転がる、小柄な二人が二度三度回転して最後は抱き合うようにして止まった。
「やるじゃない、ほらご褒美よ」
「え?」
ぐっと引き寄せられて唇にキスされた。な、なんでー!
嬉しいような、そうでもないような。ちょっと錯乱してしまう。
よいしょ、と立ち上がるとフラウが私に手を差し伸べる。その手を取ると「初めてだった?」どうしよもない一言でやる気をごっそり持っていかれた。
「第二小隊戦闘停止!」
訓練場の隅々にまで届く声で命令すると、あっさりと負けを認めてしまった。
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