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味と香りを味わい空を眺める。綺麗だ、濁った空気じゃないんだよな。
……あの時、何が出来た。最善を尽くしたつもりだった、けど全てを失った。足りなかったんだ、何もかもが。
自分が強ければどうとでもなると思ってた、それが間違いだって気づいた時にはもう遅かったよ。
けど弱ければああまで生き延びることは出来なかったはずだ。じゃあどうなってた? もしかしたら激戦地に行かずに済んでいたんじゃないのか?
答えなんて解らない、誰にもわかりゃしない。
今もこれだって道を選んでいるつもりで、最悪に突き進んでるってことすらある。
「……フラウさん、もし人生やり直せたらどうしたいです?」
唐突にそんなことを言った私に少し驚きながら、数秒沈黙して口を開く。
「固定観念に捕らわれず、己の限界を定めず、前へ、より前へ進みたいわね」
茶化したことを言うかと思いきや、妙に考えさせられる返事をしてきた。その時のフラウさんの目はとても真剣だった。
「そうですか」
私はそうやってやりたいことをしっかりと出来ているんだろうか?
椅子やテーブルがひっくり返される音が響いた。なんだ!
「アリス、気を付けて」
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