さいかいは悔恨と安堵

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 斜め後ろを振り返ると、今朝方見かけた男が居た。性懲りもなくまたやってきたらしい。 「私ってそんなに人気者になりたいって思っていないのだけれど」  どれだけお仲間連れて来るんだよ!  ぞろぞろとやって来る男達、三十や四十は居る。もしかしてカフェテラスに客がいなかったのはあいつらが原因か? 「何よアリスの客なの? ちょっと意外ね」  こっちも意外だよ。どうしてそんなにしつこいかな。  ビアジョッキ片手に飲んでいたあの怖いネーさんも視線を向けてきている、そりゃそうだ。  立ち上がってアノ男を見詰める。 「よぉ、この前は随分と世話になったな」 「そう思うなら迷惑を掛けないでくれる? 私はアリアス・アルヴィン、そっちは」  後で通報してまとめて収容所送りにして終わりにしよう。 「俺の名を知りたいか、そうか。エックハルトだ、ダミアン・エックハルト」  どっかで聞いたことあるような? でもこれでお終いに出来るからいいか。どうやって逃げよ。 「エックハルトって、エックハルト侯爵のかしら?」
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