1847人が本棚に入れています
本棚に追加
戦車に付き従う歩兵がやって来る、何事もなく過ぎ去って行けと祈った。だが無情にも一人の兵士に見つかってしまう。
「誰か居るぞ!」
声を上げてこれまた旧式の銃を構えて数人で近づいてきた。
ああ、終わったな。仕方ないか、人間諦めが肝心だ。
岩陰に座って小さくなっていたまま、傍にやって来た兵士と目が合う。
「居たぞ! って……子供?」
何を言っているんだこいつは、戦闘薬でもやっているのか?
集まって来た兵士が「女の子か、こんなところでどうして」殺気を喪い困った顔をする。
こいつら揃いも揃ってヤク中か?
「私はアル――え? 声が?」
甲高い声が出ている、え、なんだこれは?
慌てて手を見るとやけに小さくて細い可愛い手、動かしてみると間違いなく自分の手だ。
体をあちこち触ってみる、髪が長くて腰まである! 細い、といういより幼い体だ!
「こちら第一小隊、戦場で女の子を発見しました。恐らくは近隣の住民と思われます、非常に混乱している模様、保護します」
若い兵士に手を差し伸べられた、これが私の最初の記憶だった。
最初のコメントを投稿しよう!