かのじょ等は技官

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◇  切符を一枚手渡されて、達者でと送り出された。こういうところ、全くの容赦なしなのはどこの国も時代も一緒らしい。  汽車で一本ということだが、言葉の通り電車ではなく汽車だ。違いは簡単、動力の差がある呼び方になっている。  田舎町にずっといたせいですっかり忘れていたけど、この世界の文化レベルはどうやら遅れているようだ。  半世紀前の技術が最新鋭、良くも悪くも魔法があったせいで戦争による技術革新が遅くなっている。  そもそも魔法というのがどこまで一般的な捉え方をされているか、そこも闇の中だ。  数日自由時間があるならそのあたりの疑問も多少は解決するだろうけど、今日中に出頭しろとのお達しがある。  なにせそうしなければ寝る場所すら無いわけで、そのあたりさっきも思ったけど容赦ない。  こんな幼気な少女を一人旅させるとは、一体どうなってるんだ。 「昼か、この小銭で昼食足りるのか?」  軍曹に個人的に渡された小銭があった。上申書に対するささやかな評価だと言っていたけど、あの面白くなさそうな顔はずっとそのままだったな。
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