かのじょ等は技官

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 硬貨に記されている数字がそのまま額なのは誰にでもすぐに理解出来る、問題は物価の方だ。  適当にカフェテラスにでも入ればいいか。  こんなことで悩むのは無駄無駄、割り切って椅子に座ってしまう。 「いらっしゃいませ」  給仕が誰かを探す仕草をしてる、保護者でも探してるんだろうな。 「一人です。これで食べられる何かを」  貰った硬貨を全部テーブルの上に置いて、注文をする。五百円玉四枚くらいの価値が有れば昼飯は出て来るだろう。 「あー、畏まりました」  すぐに軍に駆けこめばそれで済む、けれども数時間だけでも自由を得たいがためにここに居る。  数分で給仕が戻って来る、出されたのはトーストとハムに卵、そしてミルクだった。  一番安いだろうそれらの代金に四枚の硬貨を回収された。  本気で小銭だったのか、それともインフレが起きてるのかこれだけじゃ解らないな。  取り敢えず食べよう。  量は少ないけれど、味に文句はなかった。芋ばかりの食事であれだけ満足できていたんだから、きっと贅沢はしてこなかったんだよな。  まるで他人事のような感想をぽつり。
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